なぜ、改革は必ず失敗するのか 自治体の「経営」を診断する
木下敏之著


前著「日本を二流IT国家にしないための十四カ条 - 佐賀市『電子自治体』改革一年の取組みから」に続く二冊目となる本書ですが、ようやく、佐賀市長6年半の取組みをある程度網羅した本を出版するチャンスをいただきました。新刊の内容をご紹介します。

■ 私の佐賀市長6年半の取組みを網羅しました

この本の第一部は、急進改革派といわれた佐賀市長6年半の取組みの主なものを網羅しています。元々の原稿は360ページ分あったのですが、主に他の自治体にも使えそうなものに絞りました。当時は書くことの出来なかった、最初の助役選任で議会に嵌められた話や、談合防止の戦いをしている最中に親族がヒットマンに襲われた話などの裏話も盛り込んでいます。

■ 急進的な改革の理由は、人口構造の変化にあります

これが佐賀市の2000年から2050年までの人口の予想です。
人口は16万人から8万人と50年間で半分になるのですが、自治体財政にとってとても困るのは、社会を支える働く世代(統計上は15歳から64歳)の一貫した減少でした。これでは、自治体の財政は悪化の一途ですし、高齢者を支えることもままなりません。

■ 地域「再生」などありえません

第二部からは、この二年間、全国を講演して回って感じたことを述べています。まず最初に感じたことは、多くの自治体がこの先、人口の構造がどのように変化していくのか、そしてその変化はどのような影響を社会に、そして自治体の財政に与えるのかをきちんと捉えていないことでした。
これからの人口の変化を大きく変えることは不可能ですので、昔のような社会に戻すという意味での「再生」などありえません。私は、ではどんな社会になるかということを明確に描ききれたわけではありませんが、これは試行錯誤をしていくしかないのだと思います。

■ 首都圏には時限爆弾が埋まっています

特に、首都圏はこれから高齢者が急増します。そして、首都圏の高齢者福祉施設の整備水準は大幅に遅れており、東京、埼玉、千葉、神奈川の四県が最下位グループに含まれているというのが現実です。

■ 細い道ですが、対策はあります

「では、どうすればいいのか?」ということですが、細い道ではありますが、対策はあります。
まず、自治体のスリム化をして、無駄をなくすこと。自治体側からは、もう削るところはないという意見もありそうですが、これまでの経験から言えることは、役所はまだまだ大幅にスリム化できます。次に、建設業に代わる産業を育てなくてはなりませんが、それは、結局は人材の確保に尽きます。
自治体の人材確保としては、首長や市役所幹部に企業の経験者を使うことです。修羅場をくぐった人が良いと思います。また、地方都市は産業界も人材不足ですので、都市部に沢山いるビジネス経験者を地方に還流させること。そして、いつも学校教育に力を入れて、地域の人材を厚くしておくことです。

■ 是非手に取って、読んでみてください

この本は、少しもやもやした読後感が残ると思います。他の似たような分野の本のように、「これが解決策だ!」とズバリ提言していません。しかし、全国各地を訪ねてみて思うのは、自治体のありようは千差万別で、しかも、どの時代にも、世界のどの地域にもお手本のない人口減少、働く世代の減少、そして高齢者の急増する社会を迎えるということです。
もやもや感がない本など、嘘だと思います。是非、ご自分で手に取って、読んでみてください。 地方に行けば行くほど、書店には置かれていないと思いますので、この機会にぜひ Amazon(本書ご購入用ページ) でお買い求めください。
− 目次 −

第一部 ある自治体「経営者」の挑戦
佐賀市 1999〜2005

第一章 バブルの残滓を除去する

1. 佐賀市財政の病弊とは
2. 無駄な事業を清算する

第二章 経営刷新は人事からはじまる

1. 職員管理の鉄則
2. 不明瞭人事の解体
3. 議会勢力との神経戦

第三章 経営効率化のための公共資産売却

1. 役所仕事のコストカッター
2. 公営資産の民間売却

第四章 談合体質と向き合う

1. 公共事業への依存体質
2. 談合を不要とする構造を作る

第五章 実を結んだ経営改革

1. 役所仕事に生まれた変化
2. コスト削減と工事の遂行
3. 九州第一の改革自治体へ

第六章 市街地の活性化と産業振興対策

1. 衰退する中心市街地と都市計画
2. 街に活気を取り戻すためには
3. 建設業に代わる産業をどう育てるか?

第七章 乗り越えられなかった壁

1. 県庁という障害物
2. 「人材格差」是正のために

おわりに なぜ、改革は破れたのか

第二部自治体経営の未来へ
夕張、首都圏、そして・・・・・

第一章 夕張市財政破たんの教えるもの

1. 道路に輝く銀色の点
2. 財政破たんの原因

第二章 自治体「再生」はありえない

1. 「再生」という誤解
2. 人口減少・働く世代の減少・高齢化のもたらすもの

第三章 首都圏に埋められた時限爆弾

1. 迫られる高齢者対策
2. 医療のコストカットを迫られるとき

第四章 再生産ができなくなった社会

1. 出生率冷え込みの意味するもの
2. 子育て支援の重要性

第五章 自治体経営のコストカット

1. 効率化とスリム化
2. 自治体経営コスト削減チェック項目一覧

第六章 富を生み出す仕組みを作るために

1. 地域間所得格差の行方
2. 「格差」で見誤る問題の所在
3. 地域振興、各地の試み
4. 本質的課題としての「人材格差」
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なぜ、改革は必ず失敗するのか-自治体の「経営」を診断する
出版社: WAVE出版
ISBN 9784872903324
2008年6月16日発行
価格: 1,995円(税込)

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